マウスピース矯正中は、マウスピースを1日に20時間以上装着しておかなければなりません。したがって、食べ物と飲み物の選択には特に注意が必要です。歯に詰まりやすい食べ物や、ブラッシングで除去しにくい飲み物の色がマウスピースに付着し、トラブルの原因となることが考えられます。
本コラムでは、マウスピース矯正中に気をつけるべき食べ物や飲み物と、その理由を紹介します。また、口にしてしまったときの対策についても触れているため、マウスピース矯正中の方や矯正を検討されている方はぜひ参考にしてください。
【マウスピース矯正】飲食に要注意のポイントとその理由
マウスピース矯正中は、食事と歯磨きの際にマウスピースを取り外すのが基本です。そのため、指導などは特にありません。
しかし、飲み物に関しては「飲むたびにマウスピースを取り外す」という指導がない可能性があります。こまめに水分をとる際や、外出先での水分補給ではマウスピースを取り外す必要はありませんが、気をつけて欲しい飲み物が3つあります。
まず、コーヒーや紅茶、赤ワインなど色の濃い飲み物です。マウスピースは透明であり、色の濃い飲み物は色移りがしやすく、長期間にわたり飲用した場合は、着色の原因となります。
次に、温度の高い飲み物です。マウスピースはポリウレタン製の薄い材質のため、高温の液体に触れると変形してしまう恐れがあります。一度変形するとマウスピースは元の形には戻りません。再度作り直すにも時間がかかるため、治療期間が伸びる可能性があります。
最後は、糖分を含む飲み物です。マウスピースと歯の間に糖分が付着したままになると、虫歯や歯周病につながります。また、糖分のほかにも虫歯の原因になりにくいといわれている甘味料もあります。例えば、天然甘味料の「エリスリトール」や人工甘味料「アスパルテーム」などです。甘みのあるものを飲むのであれば、甘味成分をチェックするようにしましょう。
うっかり食べてしまったときの対策
もし、特定の飲み物や食べ物を摂取してしまった場合、以下の2つの方法で対応しましょう。
-
• できるだけ早くうがい・歯磨きをする
• マウスピースを水洗いする
これらの対策は、着色や虫歯、歯周病といった口腔内の問題を予防する上で極めて重要です。特にマウスピースの使用中は、食べ物や飲み物の残留物がマウスピースにこびりつきやすく、これが原因で口腔内の細菌が増えるリスクが高まります。その結果、歯石の形成や歯の健康を損なう可能性があります。適切なブラッシングを行い、治療を計画どおりに進めるという気持ちが大切です。
歯科医院では、正しいブラッシング方法やマウスピースの洗浄方法、保管方法など、口腔ケアに関するアドバイスを行っています。もし疑問や不安に思うことがあれば、次回の診察時や治療時に歯科医師に相談しましょう。
<患者さんからよくいただく質問>
- Q.1 マウスピースを装着しているときに食事ができないのはどうしてですか?
- A.1 マウスピースを装着中に食事をすると、マウスピースが変形する恐れや破損のリスクがあるため、食事の際は外す必要があります。矯正用のマウスピースは歯を動かすことを第一優先に考えられたマウスピースです。より快適に装着していただきつつ、結果が出るように工夫された構造になっていますので、食事の際には取り外しが必要となります。
- Q.2 マウスピース着用中にゼリーを食べるのは問題ないですか?
- A.2 ゼリーのような柔らかい食べ物であっても、マウスピースを装着している間は食べることはおすすめしません。たとえマウスピースが破損しなかったとしても、食べ物の残りカスがマウスピースの中に溜まり、虫歯や歯周病の原因となる恐れがあります。
ただし、仕事中など食事の時間が取れず効率よくカロリーを摂取することが一時的に必要な場合の限ってはマウスピース装着のままゼリーを食べ、時間が取れる時にマウスピースを外し洗浄とブラッシングを行います。